2014年度演習1
社会的相互行為の構造: 会話データの利用法
重要なお知らせ
- 2014年5月2日
宿題2(トランスクリプションの練習)のページをつくりました.
- 2014年4月5日
2014年度版授業ホームページを立ち上げました.
- 2014年4月5日
この授業は,学部の3年生,大学院生,および他大学・他機関の大学院生・研究者の方々から履修もしくは参加いただきます.今年度は全体で,12名弱になる予定です.すべての履修生・参加者のみなさんに,金曜2限の「社会相互行為論」(早野薫先生担当)の参加をお願いしています.よろしくご承知おきください.(すでに昨年度同科目を履修済みのみなさんは,必ず質問リストを復習しておいてください.)
- 2014年3月6日
2014年度演習1(会話分析演習)の事前課題(ゴッフマンを読む)を配信します.初回授業時に各自の回答を提出できる形でお持ちよりください.
時間: 月曜日 13時25分から14時45分まで
教室: 本館1508室
担当: 西阪 仰
E-mail: augnish(α)soc.meijigakuin.ac.jp
この演習では、いわゆる「エスノメソドロジー」に方向づけられた相互行為分析の基本的な構えと考え方について考えてみたい。
エスノメソドロジー的相互行為分析は、わたしたちが日々出会う様々な事柄を、非常に強いいみでの「社会現象」として、厳密にかつ経験的にみる態度である。社会学は、たとえばどうして都市では農村より自殺率が高いのかを説明しようとしてきた。しかし、そのような説明をこころみる以前に、そもそもそこで説明されようとしている事実がどのようにして、そのような「事実」としてそこにあるのか、ということ自体、ひとつの「社会現象」として探求することができる。つまり、そもそも特定の死が「自殺」であるのはいかにしてかを探求できるはずだ。そもそも、ある特定の死に「自殺」という概念が当てはめられるのは、どのような手続きによってなのか。その死にその概念を当てはめることで、わたしたちは何をやっているのか。このような探求はすぐれて「社会学的」な探求である。
具体的には、「会話分析 Conversation Analysis」と呼ばれる技法を学ぶことを通して、人間は行為をどのように組み立てているのか、周囲のものごとをどう知覚し理解しているのか、などを1年間じっくり考えていきたい。
- E・ゴッフマン『集まりの構造』(誠心書房)
- G・サーサス他『日常性の解剖学』 (マルジュ社)
- H・サックス他『会話分析基本論集』(世界思想社)
- 西阪 仰『相互行為分析という視点』(金子書房)
- 西阪 仰『心と行為』(岩波書店)
- 西阪・串田・熊谷編「特集 相互行為における言語使用」『社会言語科学』10巻2号(2008年)
- (参考)西阪 仰『分散する身体』(勁草書房)
- (参考)G・サーサス『会話分析の手法』(マルジュ社)
- (参考)H・ガーフィンケル他 『エスノメソドロジー』 (せりか書房)
- (参考)好井・山田・西阪編『会話分析への招待』(世界思想社)
- (参考)J・クルター『心の社会的構成』(新曜社)
- (参考)串田 秀也『相互行為秩序と会話分析』(世界思想社)
- (参考)好井・串田編『エスノメソドロジーを学ぶ人のために』(世界思想社)
(*が付された文献は大学院生用のテキスト。)
第1週〜第2週
テーマ
テキスト
参考文献
- ゴッフマン『行為と演技』第三章(「さまざまな局域」)および第六章(「印象操作の技法」)
- 西阪仰『分散する身体』1章・2章
- *Goffman, Neglected situation
- *Goffman, On footing. In Forms of Talk. U Penn Press, 1982.
- *Goodwin, C., 1979. The interactive construction of a sentence in natural conversation. In Psathas (ed.), Everyday Language. 1979. pp. 97-121.
小レポート締切 第1週
ゴッフマンについての小レポート
宿題1(出題 第1週; 提出 第2週)
『心と行為』1章の読書ノートを持ち寄る.(最低限,
30ページから47ページまでを読むこと.が,余力があれば,ぜひ最初から読んでほしい.)
第3週〜第5週
テーマ
方法の中の「理論」: どうして細かい会話のトランスクリプション(転写)が必要なのか。
テキスト
- 西阪 仰『相互行為分析という視点』第1章
- シェグロフ「開始連鎖」
- *Jefferson, G., 1979. Invitation to laughter. In G. Psathas (ed.) Everyday Language: Studies in Ethnomethodology. Irvington.
- *Schegloff, E. A., 1968. Sequencing in conversational openings. In J. J. Gumperz and D. Hymes, 1972. Directions in Sociolinguistics. New York: Holt, Rinehart and Winston, pp. 346-380.
第6週〜第8週
テーマ
テキスト
- サックス,シェグロフ,ジェファソン「会話のための順番交替の組織」『会話分析基本論集』
宿題 3-1(出題 第5週; 提出 第6週)
「順番構成単位」を特定する練習 (1)
宿題 3-2(出題 第6週; 提出 第7週)
「順番構成単位」を特定する練習 (2)
宿題 3-3(出題 第7週; 提出 第8週)
実際に会話の中でどのように順番の交代が行なわれているかを観察する練習
第9週〜第12週
テーマ
テキスト
- シェグロフ+サックス「会話はいかにして終了されるか」『日常性の解剖学』
- S・レビンソン『英語語用論』第6章(「会話の構造」)
- *Schegloff, E. A. 1980. Preliminaries to preliminary. Sociological Inquiry.
- *Schegloff, E. A. 2007. Sequence organization in interaction: A primer in Conversation Analysis, vol. 1. Cambridge University Press.
参考文献
宿題 4-1(出題 第9週; 提出 第10週の前日)
隣接ペアを見分ける練習
宿題 4-1a-b(出題 第11週; 提出 第12週の前日)
先行連鎖を見分ける練習
宿題 4-2(出題 第12週; 提出 合宿前)
行為の連鎖を見分ける練習
宿題 4-3(出題 第12週; 提出 合宿時)
実際に会話の中でどのように行為が達成されているかを観察する練習
宿題 5-1(出題 第10週; 提出 第11週)
会話終了の分析の練習
宿題 5-2(出題 第12週; 提出 合宿前)
会話の開始と終了の分析の練習
夏期合宿(演習1・演習2合同)
日程: 9月のいずれか(詳細未定)
※ 参考:
昨年の合宿スケジュール
(*が付された文献は大学院生用のテキスト。)
第1週〜第3週
テーマ
テキスト
- S・レビンソン『英語語用論』第6章(「会話の構造」)
- 西阪「会話分析について」
- *Pomerantz, A. 1984. Agreeing and disagreeing with assessments: Some features of preferred/dispreferred turn shapes, In J. M. Atkinson and J. Heritage (eds.), Structures of Social Action. 1984.
- *Sacks, H. 1982. On the preferences for agreement and contiguity in sequences in conversation. In Button and Lee (eds.), Talk and Social Organisation. 1987.
参考文献
宿題 5-3(配布 第1週; 提出 第2週)
優先組織の記述の練習
宿題 5-4(配布 第2週; 提出 第3週前日18時まで)
優先組織の記述の練習(続き)
第4週〜第6週
テーマ
テキスト
- シェグロフ,ジェファソン,サックス「会話における修復の組織」『会話分析基本論集』
- 西阪 仰「会話分析の練習」『会話分析への招待』
- 西阪 仰 未発表草稿
参考文献
- 西阪 仰「発言順番内において分散する文」『社会言語科学』10(2): 83-95
- 西阪 仰 「反応機会場と連続子」
- *Emanuel A. Schegloff: "The Relevance of Repair to Syntax-for-Conversation,"in T. Givon (ed.), Syntax and Semantics, Volume 12: Discourse and Syntax(New York: Academic Press, 1979) 261-286.
- *Emanuel A. Schegloff: "Repair After Next Turn: The Last StructurallyProvided Defense of Intersubjectivity in Conversation." American Journal ofSociology 97:5 (1992), 1295-1345.
- *Emanuel A. Schegloff: "Third Turn Repair," in G. R. Guy, C. Feagin, D. Schiffrinand J. Baugh (eds.), Towards a Social Science of Language: Papers in honorof William Labov. Volume 2: Social Interaction and Discourse Structures (Amsterdam: John Benjamins, 1997), 31-40.
- *Emanuel A. Schegloff: "When 'Others' Initiate Repair," Applied Linguistics,21:2, 205-243, 2000.
宿題 6a(配布 第5週; 提出 第6週)
同じ順番内での修復の開始の例を見つける練習
宿題 6b(配布 第5週; 提出 第6週)
次の順番における修復の開始の例を見つける練習
宿題 6c(配布 第6週; 提出 第7週 前日
第三の順番、第三の位置における修復の開始の例を見つける練習
宿題 6d(配布 第6週; 提出 第7週)
その他の修復組織について考える練習
第7週〜第10週
テーマ
「成員カテゴリー」「カテゴリーに結びついた活動」
テキスト
- サックス「ホットロダー」『エスノメソドロジー』
- 西阪 仰『心と行為』序章
- 西阪 仰『相互行為分析という視点』第二章(「異文化性」)
- *サックス「会話データの利用法」『日常性の解剖学』
- *Sacks, H. The analyzability of children's story. In J. J. Gumperz and D. Hymes, 1972. Directions in Sociolinguistics. New York: Holt, Rinehart and Winston.
参考文献
- D・スミス「Kは精神病だ」『エスノメソドロジー』
- シャロック「知識を所有することについて」
- 串田秀也「指示者が開始する認識探索」『社会言語科学』10(2): 96-108
宿題 7(配布 第7週; 提出 第8週[一部前日提出])
成員カテゴリーがどのように使われているかを観察する練習
宿題 7(続き)(配布 第9週; 提出 第10週[一部前日提出])
表現の選択と物語を語ること
第11週〜第12週
テーマ
テキスト
- 西阪 仰「会話分析になにができるか」奥村編『社会学になにができるか』
- *Sacks, H. An analysis of the course of a joke's telling in conversation. In R. Bauman and J. Sherzer (eds.), Explorations in the Ethnography of Speaking. Cambridge: Cambridge University Press, pp. 135-144.
参考文献
宿題 8(配布 第12週; 提出 第13週[前日])
物語の始まり・終わり、物語の展開がどう組織されているかを観察する練習
課題: ゼミ論文
トランスクリプトの記号
レポートを書くに当たっては、トランスクリプトの約束事がありますので、そちらを参考にしてください。(より詳しい約束事は、Emanuel Schegloff氏のサイトにあります。こちらもご参照ください。
- 成績評価は、平常点(出席・発言・口頭発表)、宿題、小テスト、学期末のレポートによりおこなう。
- 必ず,この授業と並行して行なわれる講読の授業(本年度は,金曜2限「社会的相互行為論」[早野薫先生担当])に参加すること.
- 卒論執筆を希望する者は、12月中に,卒論につながるよう,ゼミ論のテーマの候補をいくつか決め,担当教員と面談すること.とくに,学科で,1月中に指導を希望する教員との面談を求められているので,注意すること.
- この演習に関する問い合わせは、augnish(α)soc.meijigakuin.ac.jpまで(なんなりとお気軽にどうぞ)。