2019年度「理論社会学a」
言語と行為

重要なお知らせ



担当 西阪 仰(研究室4階)
時間  水曜3限
教室  マルチメディア講義室
E-mail: augnish(at)chiba-u.jp
オフィスアワー 水曜5限

概要

社会的相互行為研究のなかで,言語の使用をどう捉えることができるか,いろいろと考えてみたい.ゴッフマンは,言語の「本来の在り処」は,言語が必ずしも用いられない場所,すなわち相互行為である,と言った.また,サックスは,社会のなかに(無視してよい)「ゴミ」のようなものなどない,と言った.相互行為は一見混沌としている.しかし,わずかな沈黙,わずかな声の重なりなどのなかに様々な秩序を認めることができる.このことに気づくことは,いわば近代社会の根底にある人間観(能力は,個人の心もしくは神経系の内側で完結しているという考え)に対する挑戦でもある.その意味で,この授業は,近代社会を,言語とという窓から眺めなおす一つの試みでもある.

言語を,言語そのものとしてではなく,相互行為において使用される言語として捉えなおすことで,社会学が(最も典型的な社会的現象の一つである)言語にどうアプローチできるかを,具体的に示すこと,これがこの授業の目的である.文法という概念が,言語の内部構造にとどまらない,相互行為のうえに開かれたものであること,会話分析の手法により具体的に示していきたい.

課題

読書課題(2回)

試験

毎週10分英語


授業内容

第1週

テーマ 1
授業のオリエンテーション。


第2週〜第3週

テーマ
文法の理論(チョムスキー)

  1. 理想的話し手・聞き手
  2. 変形規則
  3. チョムスキーの取り逃がすもの: 非文法的文の文法性

テキスト


第4週〜第7週

テーマ
言語と行為:言語行為論について

  1. オースティンの言語行為という考え方
  2. サールの「言語行為論」: 間接的言語行為と表現可能性原理
  3. 言語形式と,相互行為における行為

テキスト

「オースティンを読む」課題配布


第6週

テーマ
「オースティンを読む」

課題の「答え合わせ」

第8〜9週

テーマ
会話の含意: 言外の意味

  1. 非自然的意味
  2. 会話の格率
  3. 意味と文法

テキスト


第9週〜第13週

テーマ
相互行為のなかの文法

  1. 質問はどのように組み立てられるか
  2. 非文法的な文の文法的な構成
  3. 一つの順番になかで分散する文

テキスト

「ヘリテッジとクレイマンを読む」課題配布


第14週

テーマ
質問への応答: Clayman & Heritage を読む

課題の「答え合わせ」


第15週 期末試験試験