2025年度 現代人間論系演習(エスノメソドロジーの方法)
相互行為における行為と身体

時間: 春学期水曜日 3限(13時10分から14時50分まで)
教室: 未定
担当:  西阪 仰
E-mail: augnish(α)chiba-u.jp

重要なお知らせ

このページの目次


テーマについて

この授業では,エスノメソドロジー的相互行為分析,とくに「会話分析」と呼ばれる分析法の基本的な考え方と方法を体系的に紹介する.社会のの基盤である社会的相互行為がどのように組織されているかを考察する.会話分析は,実際の会話の録音・録画を,発話の重なりやわずかな沈黙を見逃さずに,詳細に検討する.そのような詳細な分析がなぜ必要なのか,人間の行為にとって,そのような細かなことがらはどのような意味があるのかなどを,考える.昨年度は,言葉と行為の関係に焦点を合わせたが,本年度は,とくに身体の動きと行為の構成の関係をいろいろな角度から考えたい.

課題と成績評価

毎回,読書課題もしくは分析課題が出る.読書課題は,数時間かかるものがあるので,早めに取り組むこと.分析課題は,30分から1時間ほどでできる.授業では,この課題にもとづき議論を行なう.成績評価は,毎回の課題と,それにもとづく発言によって行なう.一つでも未提出の課題がある場合は,単位を認定しないので,注意すること.

moodleで課題を提出するとき,整理の都合上,次の形でお願いします.

テキスト・参考文献


授業計画

第1週

テーマ

1. オリエンテーション
2. 細かく見ることの意味(書き起こしてみる)

資料

参考文献

宿題1(出題 第1週; 提出 第2週)

ゴッフマン『集まりの構造』を読む: ゴッフマンの下のテキストを読み,下の質問リストの質問に答えなさい(それぞれの質問への答えは,2〜5つの文でまとめること).(次回授業前日の23:59までに授業のmoodleより提出)

第2週 

テーマ

1. ゴッフマンの「関与」概念の批判的展開: 身体に表わされる志向
2. 身体的振舞いの書き取り

テキスト

資料

宿題2(出題 第2週; 提出 第3週)

分析課題: 上の資料「断片集」の(1)(K002_004)の01行目から08行目においてて,
  1. 川内の発話がどのような行為になっているか
  2. なぜその行為をここで行なっているのか
  3. この発話の組み立て方にどのような特徴があるか(文法的な特徴,言葉の選択に関する特徴,発声に関する特徴など)
  4. 身体によりどのようなことが表現されているか(どこへの関与が何によって表わされているか,など)
について,書いてみてください(3と4については,それぞれ2点以上書き出してみてください).動画は,第3週の資料「国立国語研究所日本語日常会話コーパスより(k002_004)」から見ることができます.動画の使用は国立国語研究所との有料の契約にもとづいて使用しています.決して自身のマシンにダウロードせずにネット上で再生してください(ダウロードすると「違法ダウンロード」になってしまいますのご注意ください). (次回授業前日の23:59までに授業のmoodleより提出)

第3週 

テーマ

「状況」と身体の動き

まとめ

「関与」あるいは「志向」の観察: 最も基本的なこと
(以下の点は,理論的に導き出されるものではない.あくまでも,事例分析のための手引き.)

資料

テキスト

宿題3(出題 第3週; 提出 第4週)

読書課題: C. Goodwinの視線と文の共同構築に関する論文の一部を読む.
課題(テキストと問)
(次回授業前日の23:59までに授業のmoodleより提出)

第4週

テーマ

視線の先: 身体・対象
前週のまとめに
  • 複数の身体と対象の空間的配列
  • 身体・対象の空間的配列と発話の時間的配列
を加えよう.

テキスト

C. Goodwin, The interactive construction of a sentence

宿題4(出題 第4週; 提出 第5週)

分析課題: [当日出題].
(次回授業前日の23:59までに授業のmoodleより提出)

第5週

テーマ

説明と演技

資料

宿題5(出題 第5週; 提出 第6週)

読書課題: S.Levinsonの参加役割の研究に関する設問に答えなさい.
課題(テキストと問)
(次回授業前日の23:59までに授業のmoodleより提出)

第6週

テーマ

ゴッフマンの参加枠組み(participation framework)

テキスト

宿題6(出題 第6週; 提出 第7週)

分析課題: [当日出題].
(次回授業前日の23:59までに授業のmoodleより提出)

第7週

テーマ

「参加の枠組み」のGoodwinによる換骨奪胎
  • 聞き手の多様性
  • 身体上に表現される「志向」の配分: 他者および物への
  • 身体の再構成(様々な資格を得る身体): 「分散する身体」
  • Goodwinの「環境と連結した手振り」: 手振りと発言の相互彫琢

宿題7(出題 第7週; 提出 第8週)

分析課題: 観察課題: 身体の動きを観察する練習を試みなさい.(次回授業前日の23:59までに授業のmoodleより提出)

第8週

テーマ

データのコレクション:
YouTubeで,2人から4人までのやりとりで,かつ無編集部分を集める.

宿題8(出題 第8週; 提出 第9週)

データ収集課題: さらにデータを増やし,本日集めたデータの音声部分を書き起こす.(次回授業前日の23:59までに授業のmoodleより提出)

第9週

テーマ

1. これまで学んだことを総動員して,できるだけ多くの断片を分析する.
2. 興味深い現象の候補を探す.

宿題9(出題 第9週; 提出 第10週)

分析課題: [当日出題].(次回授業前日の23:59までに授業のmoodleより提出)

第10〜12週

テーマ

物語を語ること

テキスト

資料

宿題10〜12(出題 第10〜12週; 提出 第11〜13週)

分析課題: [当日出題]((次回授業前日の23:59までに授業のmoodleより提出)

第13週

テーマ

グループ発表

第14週

テーマ

調整日

注意点

  • 無断欠席は厳禁.欠席の場合は必ず事前に直接担当教員に連絡すること.無断欠席2回で失格となる.また,欠席は,大きな減点になるので要注意(遅刻2回を欠席一回に換算).
  • 履修要項の「公欠」の定義に当たる欠席に際しては,最低限の証拠(インフルエンザであれば処方箋のコピー,忌引であれば埋葬許可書のコピーもしくは会葬御礼の現物)を提示すれば,2回までは出席扱いとする.
  • 成績評価は,平常点(出席・発言),宿題によりおこなう。

道具箱

ここでは、私が相互行為分析を行なうにあたり重宝している(というより、いまや不可欠となっている)道具をご紹介します。いずれもフリーです。基本的な道具ですが、もちろんなによりも、あなた自身の分析技術を磨くことがもっとも重要です。この点をお忘れなきよう。