データの収集: 録音録画、およびその書起し
実際の相互行為の録画もしくは録音,および録画録音した会話の書起し作業を,できるだけ早く開始してください.そのさい,下の注意点によくよく気をつけるようにしてください.不明な点があれば,必ず西阪まで尋ねること.以下,実際に録画・録音の対象となっていただく方のことを「調査参加者」と呼びます.その他,調査のお膳立てを手伝ってくださる方を「調査協力者」と呼びます.両者は一致しないことがしばしばあります.
みなさんにとって,データ収集は,担当教員からの指示にもとづくもので,義務のように感じるられていることでしょう.しかし,みなさんの調査に協力・参加いただく方々の側からすれば,あくまでもみなさんの卒業研究のために,善意で協力しようという方々です.協力者・参加者の方々には,あくまでも,自分が「依頼者」であるということを忘れないように,接してください.調査の対象となっていただく方々の権利とプライバシーを最大限尊重することは,研究する者が最低限守らなければならない倫理です.
1. 録音録画について
録音録画のやり方
- 3人もしくは4人の対面的会話をビデオで録画するか、あるいは電話の会話を録音してください。
- ビデオカメラおよび電話からの集音機器は,西阪研究室のものをお貸しします。
録音は、マイク=イヤホンを使ってください。普通のイヤホンのように耳に挟み、その上から受話器を宛てると、両方の話し手の声が録音できます。携帯では、うまく録音できないことがあります。イヤホンの裏のマイク部分が電話機のスピーカ部分にうまく当たっているか、確認してください。
- テープレコーダがない場合は、ご相談ください。(貸出いたします。)
- ビデオは、各グループ2ケース(各1時間弱)、全体で4つをめどにしてください。
- 必要に応じ、随時、電話の録音も集めてください。
- できるだけ、教室は避け、日常的な環境を録画場所にしてください.(調査参加者の自宅の一室をお借りするのがよいでしょう.)
- 店舗,公共施設などで録画・録音を行なう場合は,必ず,その施設の管理者に了解を取ってください.(倫理的な問題だけではなく,法律的な問題が生じることもあります.)
調査参加者の募集
- 調査参加者には、自分を含めないようにしてください.(分析に「邪念」が入り込まないようにするため.)
- できるだけ,直接の友人も調査参加者に含めないようにするのが基本です.(日常会話を採取する場合には,友人に参加者を紹介してもらうのが一番よいです.--友人とは様々な人間関係上の問題がありうるからです.)
- 4人以下にしてください。5人以上では、書起しが非常に困難です。
- 必ず、初対面の人が入るように心がけてください。(必要な情報がすべて語られるように。)
- 年齢、性別など、できるだけ多様になるように配慮してみてください。
- 調査参加者には、次のやり方できちんと依頼し、承諾を取るようにしてください。(隠し撮りは厳禁です。)
- 万一,事前承諾をもらった調査参加者以外の人物が写る場合は,その方にも承諾をもらうのがよいでしょう.もし承諾をもらうことが困難な場合は,その部分は,消去するのがよいでしょう.
依頼と承諾
「依頼」と「承諾」は,調査においては異なるプロセスです.この点に,まずは注意してください.
- 事前に調査の趣旨を文書で説明し、録音録画後に文書で承諾を得るのが理想です。電話の場合は、電話という特殊事情もあるので、調査趣旨の説明が事後になることも止むを得ないと思います。事前にしろ事後にしろ、趣旨説明は文書で行なってください。
- 事前依頼の場合は次のいずれかになります.
- すべての参加者に直接説明と依頼を行なう。
- 特定の協力者から、その人の知人何人かに説明書(依頼書)を渡してらうようお願いする。
- いずれの場合も、終了後、すべての協力者に承諾書を渡し、サインをもらってください。(承諾書は郵送でのやりとりでも、もちろんかまいません。まれに,緊急性の高い特殊な状況において,口頭による承認もやむなしということもありえます.そのような特殊な状況での調査を考えている人は,西阪に直接相談してください.)
- 事後承諾の場合の手順は次のようになります.電話の録音を想定しています.
- 調査参加に同意した方が自分の電話を録音したあと、相手にかけなおしてもらい、相手に説明したうえ承諾を得てもらう。後日、相手の方には、承諾書とともに、説明書(依頼書)も渡すようにする。
- かけなおしたさいに、相手方の承諾が得られないときは、録音をただちに消去してもらう。
- 依頼書と承諾書のサンプルを次にあげておきます(いずれもワード文書です)。適宜アレンジして使ってください。とくに承諾書は両面印刷するほうが望ましいです(署名部分が他の部分と分離しないよう)。
- 依頼書
- 承諾書*
* 承諾書のサンプルは、西阪の研究グループが今後、他の授業・研究等で用いてよいかについても、お尋ねするような形になっています。皆さんのご判断で、卒業研究だけに特化した形で承諾をいただいても,もちろん結構です。
2. トランスクリプション
一般的な注意
- 音声部分のみ書起してください。
- 録音録画した会話の書起しにはいくつかのやり方があります。いずれにしても、ウェブサイト上の記号一覧を参照してください。春学期の間にトランスクリプトを完成できるようがんばってください
- 書起しにはかなり時間がかかります。もちろん、沈黙が多いとか、あるいは重なりが少ないなど、様々な条件によって、書起しが簡単になったり難しくなったりします。最初から、20分ぐらいをめどに、それぞれの会話を書起してください。それをみんなで共有してきましょう。
- 協力者のプライバシー保護のため、書起しにさいし、最初からすべての固有名を匿名化してください。
テープから直接起こす場合
(現在は,この方法をもちいることはほとんどありません.))
- 足踏みでテープ送り・戻しが可能な、いわゆるトランスクライバーを使うと便利です。コンピュータを持っていない履修生は、これが一番よいでしょう。
- 機械は西阪がお貸しします。
パソコンを用いる場合
- 現在,mpeg2という形式で直接録画するのが普通です.最初に,mpeg2ファイルから最初に音声ファイル(waveもしくはmp3)を作成してください.フリーの「ビデオファイル変換ソフト」を用います.授業ページの道具箱に適当なものを紹介しておきます.
- 現在,録音も,icレコーダで直接,waveもしくはmp3形式で保存できます.
- テープで録音したものをパソコンに取り込むときは,特殊なソフトが必要です.このやり方をとるときは,個別にご相談ください.
- weveもしくはmp3はファイルからトランスクライブしていきますが,そのさい,授業ページの道具箱にある「SndPlayer」という書起こしソフトを使われることをお勧めします。たいへん便利です。その他にも,フリーの書き起こしソフトがいくつかあります.
- 調査参加者のプライバシー保護のため、西阪研究室以外の大学施設(情報センターなど)では、絶対に作業しないようにしてください。自宅で作業する場合も,家族の目に触れることのないよう注意することも必要かもしれません.
- データは,絶対に,パソコンの内臓ディスクに保存せず,外付けの記憶媒体に保存してください.そして,その外付け記憶媒体をパソコンに接続するさいは,その前に,必ず,インターネットの切断を行なってください.(Windons vista以降は,「ネットワークと共有センター」の左がわの「アダプターの設定変更」から,ネットワークの切断・再接続ができます.コンピュータの苦手な方は,ランケーブルをはずす,wifiのスイッチをオフにすればよいでしょう.)
データの管理
- 西阪が管理者となるデータについては,西阪研究室の指針にもとづき管理します.
- その他のデータについては,卒業研究終了ごにただちに,オリジナルテープおよびすべてのデータを破棄するのがよいでしょう.
最終更新日: 4/8/2013