November 19, 2002

The 30th Meeting of Mind and Activity


11月30日 土曜日(Saturday, November 30, 2002)

3:30 pm. - 7:30 pm.
本館 (Main building)
#1555 (on the north wing of the 5th floor)
明治学院大学(Meiji Gakuin University, Tokyo)

報告

今回は、認知心理学者の井戸啓介氏の報告をお聞きしたあと、認知心理学の基本的に考え方について、様々な角度から議論をしていきたいと思います。

  1. 井戸 啓介 (Kesuke Ido)
    人が対象物の動きを認識するときに生じる錯覚について

    ダイナミックな視覚情報処理全体の特性を解明するうえで,運動視機能を解析するこ とは有効なアプローチであるといえる.人間の視覚的な運動情報処理過程には,局所 的な運動情報を検出する過程と,それらを時空間的に比較・統合するという相互作用 過程があることが指摘されている.このような相互作用には,2つの役割が担わされ ていると考えられる.ひとつは局所的な運動情報から差を取り出してそれを明示化す ることであり,もうひとつは不確定性やノイズによる局所的な情報の変動を平均化に よって取り除き,共通項を取り出すことである. 今回の発表では,運動の対比・同化現象を手がかりとして,両過程の相対的な寄与が 刺激属性の系統的な操作に依存して変化するという心理物理学的実験結果について報 告したい.


  2. (もし時間があれば)
    西阪 仰 (Aug Nishizaka)
    想像の対象としての胎児

    見えない胎児が一つの想像の対象として、医師と妊婦の相互行為のなかに現前する。一方で、リアルな対象としてその場(妊婦の身体の中)にありながら、同時にその場に「不在もの」として定立されるようなオブジェクトとしての胎児は、いわば、参加者(医師と妊婦)の相互行為(における活動)の組織的特徴にほかならない。このように想像のオブジェクトが、相互行為の組織化をとおしてどう構成されるのかを考えていきたい。まだ考え始めたばかりの事柄であり、多くの人のコメントを期待するしだいである。