研究代表者 西阪 仰 E-mail: augnish(α)soc.meijigakuin.ac.jp
2011年度より,新たに科学研究費補助金(文部科学省)を得,これまでの研究を踏まえた新たなプロジェクトを立ち上げました.
技術が「人間の身体の拡張」であるということは,よく言われます(ベイトソン,マクルーハン,さらには遠くマルクスまで).技術において拡張された身体は,身体を充実するとともに,希薄にもしてしまうような現象が,現代社会の様々なところに見られると思います.このような現象に焦点を当てていきたいと考えました.また,この研究は,2010年度までの産婦人科医療における相互行為の研究の成果にもとづくものです.これまで研究にご協力いただいた皆様に,あらためて感謝申し上げます.
2010年10月に科学研究費の申請書を提出したあと,2011年3月に大きな震災と,それにともなう原子力発電所の爆発,炉心溶融という,あってはならい事故を,目の当たりにしました.多くの方々が,現在,合理的な理解を超えた困難を強いらているなか,首都大学東京の大学院博士課程在学中の須永将史君の協力のもと,福島県を中心に,1つのサブ・プロジェクトを展開しています.
福島市と郡山市のボランティア・コーディネータおよび各町村の社会福祉協議会にお許しとご協力いただきながら,とくにボランティアの皆さんと被災者の方々の相互行為に焦点を当ています.避難所・仮設住宅という新たな環境(広い意味での技術的環境)における生活上の諸問題がどのように語られるか,ボランティアの皆さんがそのような相互行為にどのように「社会化」されていくか,というあたりを明らかにしたいと思っています.現地で活動・生活されている方々とその知見を共有するため,中間報告をまとめました.少しでも,現地のボランティアの方々のお役に立てればと思っております.
主に2つのことを想定しております.
人と人とのやりとり(コミュニケーション)は,ちょっとした目の動き,息遣い,0.1秒ほどの間合い,という非常に細かなことにより,その展開が大きく左右されます.したがいまして,ボランティアの方および被災者の方,双方を収める形で,ビデオ撮影をさせていただければ,と思っております.
手順としましては,次のようなことを考えております.最初に,私たちの研究チームの者が,ボランティアの方に,文書で撮影のご説明とお願いをいたします.撮影の承諾をいただけた場合、そのあと,今度はその方が「足湯」でお話しになる被災者の方に,直接,その場で,口頭もしくは文書で撮影のご説明とお願いをいたします.ボランティアの方および被災者の方,双方から承諾をいただくことができた場合のみ,その方々のやりとりの模様を撮影させていただきたいと思います.
撮影中,もしいずれかの方より,撮影停止のご要望があれば,その場で,ただちに撮影を中止いたします.
撮影中もしくは撮影後に,撮影したものの一部もしくは全部の破棄の要望がございましたときには,ただちにご要望通り破棄いたします.
ご協力いただくボランティアおよび被災者の方々には,お礼を用意させていただきます.
この研究につきご質問などございます場合,上の連絡先まで,いつでもご連絡くださいませ.