担当 西阪 仰(研究室文学棟4階405室) 時間 金曜4限(2時30分〜16時00分まで) 教室 E-mail: augnish(α)chiba-u.jp オフィスアワー: 金曜日5限の時間帯** この時間帯以外に面会希望の場合は、メールか電話でご連絡ください. また,上記時間内でも,複数の人が同時に訪れることや,所用で席を離れることもありますので, 事前にメール等で一声かけていただけるとありがたいです.
概要
いうまでもなく社会学は「社会」について考える学問である。しかし、そもそも「社会」とは何か。または、それはどこにあるのか。家族、あるいは学校、あるいはいま向かい合っている二人。「社会」はこれらすべてを貫くなにか抽象的なものである。このような「社会」感は、けっして古いものではない。それは「近代」とよばれる時代の産物である。したがって、社会学というのは、すぐれて近代的な学問なのだ。そもそも社会学は、近代社会の諸問題に対処する方策を提案するべく、生まれてきた。そしてこの近代社会への問いは、すなわち「社会」そのものの存立にかかわる問いにほかならない。
この授業では、19世紀から20世紀にかけて,社会科学的な思考が,「近代社会」についてどのようにめぐらされてきたかを,カール・マルクスとマックス・ヴェーバーにそくして見ていきたい.近代社会において,最も価値のあるものは「自由」であると思う.この2人の思想家の思考をとおして,自由について大いに議論できればと思っている.
単に一方的な講義をするだけでなく、みんなで実際に文献を読んでいきたい。いまマルクスやヴェーバーを苦労して読むことにどんな意味があるのかと訝しがる人もいるかもしれないが、命がけで生み出された思想と格闘することは、必ず一生の財産になると思う。
課題
読書課題(3回)
読書課題のための資料・課題は,「授業内容」中の該当週からダウンロードできる.
提出はすべてmoodleを介して行なう.なお,すべての課題は,必ず成績が確定するまで,提出版のファイルをそのまま保存しておくこと.(万一,moodleでの提出過程における事故で課題が担当者の手元に届かない場合,ファイルの最終更新日を確認させていただくこともあります.)課題を検討する週には,何らかの形で自身が提出したものを教室に持ってくること.
読書課題は,みなさんにテキストと真摯に切り結んでいただくためのものである.授業で「答え合わせ」をするが,必ずしも,普通の意味での「正解」があるわけではない.成績評価にあたっては,あくまでも「真摯度」を評価する.
読書課題は,試験日前日以降は,整理の都合上,一切受け取らない.(試験日に未提出のものがある場合,受験資格を失うので,注意してください.)
「答え合わせ」以降の提出は,別課題となり,かつ大幅な減点になるので注意すること.授業後から1週間以内の遅延は20パーセント、2週間以内の遅延は25パーセント、3週間内の遅延は30パーセント・・・(以下同様に率が上がる)の減点となる(下の注を参照のこと).以下,授業内容における「答え合わせ」予定日(提出予定日)は,現時点の予定で,実際には,1,2週間のずれが生じうる.実際の提出日を授業時によく確認すること.
期末試験
- 日時 授業最終日の授業時
- 教室 (授業と同じ)
- 出題範囲 学期中に授業で行なったことすべて.
- 出題形式 選択問題を中心に,訂正問題,穴埋め問題,簡単な記述問題を出題する予定.基本的な概念をよく理解しておくこと.
授業内容
第1週
テーマ
近代社会・社会学・自由。授業のオリエンテーション。「マルクスを読む 1」課題配布
- テキスト「ユダヤ人問題によせて」『マルクス・コレクション』
- 課題
- 提出は,翌々週の授業開始時
第2〜3週
テーマ
マルクス (1):「疎外された労働」
- 四つの疎外
- 「本源的所有」
テキスト
- 『経済学・哲学草稿』第一草稿第四断片「疎外された労働」岩波文庫 (84-106)または国民文庫 (96-118)
- 「ユダヤ人問題によせて」(岩波文庫は『ユダヤ人問題によせて』、国民文庫は『ヘーゲル法哲学批判』に所収)
第4週
テーマ
「マルクスを読む 1」課題の「答え合わせ」「マルクスを読む 2」課題の配布
- テキスト:「商品の呪物的性格」『資本論1』国民文庫
- 課題(質問リスト)
第5〜6週
テーマ
マルクス (2):資本制生産様式の矛盾
- 「商品の物神崇拝」
- 剰余価値の生産
- 資本制生産様式の危機と二つの解決
テキスト
- 『資本論』第一編第一章第四節「商品の呪物的性格」国民文庫 (133-154)
- 『資本論』第三編 国民文庫(いずれも第一分冊)
第7週
テーマ
「マルクスを読む 2」課題の「答え合わせ」
第8週〜第10週
テーマ
ヴェーバー (1):西欧近代社会の成立「世界宗教と経済倫理」
- プロテスタンティズムの倫理と近代資本主義の精神
- 儒教と中国
- 仏教とインド
- 古代ユダヤ教:苦難の神義論
テキスト
- 『プロテスタンテイズムの倫理と資本主義の精神』岩波文庫 第二章第一節
- 『宗教社会学論選』付録「儒教とピューリタニズム」みすず書房 (165-208)
「ヴェーバーを読む 1」資料と課題の配布(第7週)
- テキスト:「世界宗教と経済倫理 中間考察」の一部(ヴェーバー『宗教社会学論選』みすず書房)
- 課題(質問リストと,読むにあたっての注)
第11週 〜 第12週
テーマ
ヴェーバー (2):近代社会の合理性と非合理性
- 合理性:意味適合性と「世界の脱呪術化」
- 社会的行為:行為の四類型
- 支配の社会学:官僚制と支配の三類型
- 社会科学論:「理念型」
テキスト
- 『社会学の根本概念』第一節「社会学と社会的行為」から第七節「正当なる秩序」岩波文庫 (8-61)
- 『支配の社会学 I』第四節(60-143)
- 『職業としての政治』岩波文庫
- 『職業としての学問』岩波文庫
第13週 〜 第14週
テーマ 1
ハーバーマスのコミュニケーション的行為論テーマ 2
ヴェーバーを読む 1課題の「答え合わせ」
第15週 期末試験
授業時
注
- 出席の確認はしないが,出席は決定的に重要である.授業は,講義と議論によって成り立つ.議論に参加しない場合,単位を出すのが困難なこともある.
- 成績評価:定期試験45%+読書課題45%+平常点10%
- 期末試験と3回(もしくは4回)の読書課題のいずれか一つでも未受験未提出のものがあると成績を出すことができないので注意すること。
- 読書課題は期日に遅れた場合、必ず減点をするので注意すること(とくに一週間以上遅れた場合、かなりの減点になることも要注意。なお読書課題は、試験日以降は一切受け取れない)。
- オフィスアワーでは、授業・勉強に関するどんな質問でも受け付けるが、質問は、あらかじめ具体的に整理しておくこと。(授業・勉強と無関係な質問はお断りします。)上記時間に都合のつかない場合は、メールで面会の約束をすること。(また,複数の人が同時に訪れることや,所用で席を離れることもありますので, 事前に一声かけていただけるとありがたいです.緊急の場合は,いつでもどうぞ.)