2022年度 大学院「社会的相互行為論(文化変動論)演習」
社会的相互行為の構造: 会話データの利用法 続き
重要なお知らせ
- 2022年10月5日
第1〜3週のテキストの1つであるPomerantzの論文を授業開始までに読めるところまで読んでおいてください.また,初回授業になんらかの形で(印字するなり,タブレット等にダウンロードするなりして),この論文を参照できる状態にしておいてください.
- 2022年10月5日
この授業は前期の同じ担当者による「社会的相互行為論」に参加したことのない方は受講できません.
時間: 水曜日 14時30分から16時20分まで[初回は10月5日水曜日]
教室:[今年度はzoomによるオンライン授業]
担当: 西阪 仰
E-mail: augnish(α)chiba-u.jp
この演習では、いわゆる「エスノメソドロジー」に方向づけられた相互行為分析の基本的な構えと考え方について考えてみたい。
エスノメソドロジー的相互行為分析は、わたしたちが日々出会う様々な事柄を、非常に強いいみでの「社会現象」として、厳密にかつ経験的にみる態度である。社会学は、たとえばどうして都市では農村より自殺率が高いのかを説明しようとしてきた。しかし、そのような説明をこころみる以前に、そもそもそこで説明されようとしている事実がどのようにして、そのような「事実」としてそこにあるのか、ということ自体、ひとつの「社会現象」として探求することができる。つまり、そもそも特定の死が「自殺」であるのはいかにしてかを探求できるはずだ。そもそも、ある特定の死に「自殺」という概念が当てはめられるのは、どのような手続きによってなのか。その死にその概念を当てはめることで、わたしたちは何をやっているのか。このような探求はすぐれて「社会学的」な探求である。
具体的には、「会話分析 Conversation Analysis」と呼ばれる技法を学ぶことを通して、人間は行為をどのように組み立てているのか、周囲のものごとをどう知覚し理解しているのか、などを1年間じっくり考えていきたい。
- G・サーサス他『日常性の解剖学』 (マルジュ社)
- H・サックス他『会話分析基本論集』(世界思想社)
- E・A・シェグロフ『会話分析の方法』(世界思想社)
- 西阪 仰『相互行為分析という視点』(金子書房)
- 西阪 仰『心と行為』(岩波書店)
- 西阪・串田・熊谷編「特集 相互行為における言語使用」『社会言語科学』10巻2号(2008年)
- (参考)西阪 仰『分散する身体』(勁草書房)
- (参考)G・サーサス『会話分析の手法』(マルジュ社)
- (参考)H・ガーフィンケル他 『エスノメソドロジー』 (せりか書房)
- (参考)好井・山田・西阪編『会話分析への招待』(世界思想社)
- (参考)J・クルター『心の社会的構成』(新曜社)
- (参考)串田 秀也『相互行為秩序と会話分析』(世界思想社)
- (参考)好井・串田編『エスノメソドロジーを学ぶ人のために』(世界思想社)
第1週〜第3週
テーマ
テキスト
参考文献
- 西阪仰『分散する身体』1章 補論
- S・レビンソン『英語語用論』第6章(「会話の構造」)
宿題 5-1(配布 第1週; 提出 第2週)
優先組織の記述の練習
宿題 5-2(配布 第2週; 提出 第3週)
優先組織の記述の練習(続き)
テーマ
テキスト
- シェグロフ,ジェファソン,サックス「会話における修復の組織」『会話分析基本論集』
- 西阪 仰「会話分析の練習」『会話分析への招待』
- 西阪 仰 未発表草稿
参考文献
- 西阪 仰「発言順番内において分散する文」『社会言語科学』10(2): 83-95
- 西阪 仰 「反応機会場と連続子」
- Emanuel A. Schegloff: "The Relevance of Repair to Syntax-for-Conversation,"in T. Givon (ed.), Syntax and Semantics, Volume 12: Discourse and Syntax(New York: Academic Press, 1979) 261-286.
- Emanuel A. Schegloff: "Repair After Next Turn: The Last StructurallyProvided Defense of Intersubjectivity in Conversation." American Journal ofSociology 97:5 (1992), 1295-1345.
- Emanuel A. Schegloff: "Third Turn Repair," in G. R. Guy, C. Feagin, D. Schiffrinand J. Baugh (eds.), Towards a Social Science of Language: Papers in honorof William Labov. Volume 2: Social Interaction and Discourse Structures (Amsterdam: John Benjamins, 1997), 31-40.
- Emanuel A. Schegloff: "When 'Others' Initiate Repair," Applied Linguistics,21:2, 205-243, 2000.
宿題 6-1(配布 第3週; 提出 第4週)
修復論文を読む: 質問リストへの答えを提出
宿題 6-2(出題 第4週; 提出 第5週)
宿題 6-3(配布 第6週; 提出 第7週
第三の順番、第三の位置における修復の開始の例を見つける練習
宿題 6-4(配布 第7週; 提出 第8週)
その他の修復組織についての分析課題
テーマ
テキスト
- サックス「ホットロダー」『エスノメソドロジー』
質問リスト
- 西阪 仰『心と行為』序章
- 西阪 仰『相互行為分析という視点』第二章(「異文化性」)
- サックス「会話データの利用法」『日常性の解剖学』
要約
- Sacks, H. The analyzability of children's story. In J. J. Gumperz and D. Hymes, 1972. Directions in Sociolinguistics. New York: Holt, Rinehart and Winston.
参考文献
- D・スミス「Kは精神病だ」『エスノメソドロジー』
- シャロック「知識を所有することについて」
- 串田秀也「指示者が開始する認識探索」『社会言語科学』10(2): 96-108
宿題 7-1(配布 第7週; 提出 第8週)
「ホットローダ」を読む: 質問リストへの答えを提出
宿題 7-2(配布 第8週; 提出 第9週)
第11週〜第14週
テーマ
テキスト
- 西阪 仰『分散する身体』4章補論
- 西阪 仰「会話分析になにができるか」奥村編『社会学になにができるか』
- Sacks, H. An analysis of the course of a joke's telling in conversation. In R. Bauman and J. Sherzer (eds.), Explorations in the Ethnography of Speaking. Cambridge: Cambridge University Press, pp. 135-144.
宿題 8-1(配布 第10週; 提出 第11週)
『分散する身体』4章補論を読む: 読書ノートを提出
宿題 8-2(配布 第11週; 提出 第12週)
物語の始まり・終わり、物語の展開がどう組織されているかを観察する練習
宿題 6-1(配布 第12週; 提出 第13週)
物語を語ることに関する分析課題
- 遅刻・欠席厳禁.(遅刻・欠席は本人の不利益であるだけでなく,遅刻者・欠席者のために議論の重複の必要などが出来し,全体の進行の遅延につながることを,よくよく自覚してほしい.)
- 成績評価は、平常点(出席・発言・口頭発表)、宿題によりおこなう。
- この演習に関する問い合わせは、augnish(α)chiba-u.jpまで(なんなりとお気軽にどうぞ)。